できるだけ抜歯はしたくありません。
「健康な歯を抜歯して治療をする」ことに対して抵抗感を持たれる方は今も多いと思います。矯正治療を行う歯科医師もできるだけ最小の犠牲で最大の治療効果を上げたいといつも考えています。
患者さんに負担の少ない治療方法を提案します
当院では、まず第1の選択として抜歯をせずとも治療できる方法を考えます。実際、患者さんの約4割が非抜歯で矯正治療を終えています。
具体的には......
「子どもの場合:60%」
「大人の場合:20%」
の割合で、非抜歯で治療を終えています。
ただし、抜歯が必要なケースもあります
抜歯には絶対(体)抜歯と便宜抜歯の2つがあります。
■絶対抜歯とは?
絶対抜歯とは、抜歯しないと絶対に改善が望めないものをいいます。たとえば、大きな歯に対して顎(あご)が小さいため歯が並ぶスペースが著しく不足している乱ぐい歯の場合、または歯が著しく突出していて、前歯を後ろに下げるスペースがない出っ歯の場合などです。これらの場合には抜歯が必要となります。
■便宜抜歯とは?
便宜抜歯とは、抜歯をしなくても治療は可能ですが、抜歯をした方が治療期間は短くなり、より確実に良い結果が望める場合です。この際には、患者さんとよく相談を行った上で、抜歯をするかどうかを決めていきます。
■抜歯の対象となる歯は?
抜歯の対象になる歯は主に犬歯と大臼歯との間にある小臼歯です。前歯は形が悪い場合や、長く持たない状態などの他には抜歯の対象になることはほとんどありません。
当院では、こうした背景を十分考慮し、最終的には患者さんに最もメリットがある方法をご提案させていただきます。その上で、患者さんが一番納得できる方法を患者さん自身に選んでいただいております。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。