院長の一言... 「矯正の患者さんで多いのはどんな人 その2」
一般集団を対象とした歯科に関する全国規模の調査に5年毎に行われる「歯科疾患実態調査」(厚生労働省)というものがあります。それにはむし歯や歯肉、口腔清掃の状態のほかに歯並びやかみ合わせ(不正咬合)についても調査対象としています。
不正咬合に関して2010年の調査ではもっとも多いのが叢生(乱ぐい歯)で43.1%、次が上顎前突(出っ歯)で32.9%でした。2016年では上顎前突が40.1%、叢生が26.4%と順位は逆転していましたが両者がもっとも多い不正咬合でした。
最近の矯正患者を対象とした全国規模での調査が日本矯正歯科学会で行われ、昨年の学会で発表されていました。それによるともっとも多いのが乱ぐい歯で37%、次が上顎前突で25%でした。今の日本では一般集団も矯正患者もどちら多い不正咬合は乱ぐい歯と上顎前突ということになっているようです。
当院でも治療に訪れる患者さんに変化があるように以前から感じていましたので、その実態調査を行ってみました。対象に2010~2013年と2020~23年の各4年間に診断した患者さんとしました。
それによると、乱ぐい歯の状態がやや重度になってきていること、そして上アゴと下アゴの位置関係が上顎前突の関係、つまり上アゴは前方に、下アゴは後方に位置している場合が多くなってきていることが分かりました。比率では叢生がもっとも多く、次が上顎前突でした。それに対して、前回話しました反対咬合(受け口)は減少していることも分かりました。
この半世紀の間に矯正歯科を取り巻く状況に変化が起きており、私達矯正歯科医も以前とは違った対応をしていかなければならなくなっていると考えています。
令和7月6月のある日
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