院長の一言... 「アライナー型矯正装置を考える 最終回」
私事で二か月「院長一言」をお休みしました。今月から再開です。
最近の医療ではEvidence-based Medicine(EBM)という言葉がよく使われます。
EBMとは「臨床研究によるエビデンス(科学的事実)、医療者の専門性・経験と患者の価値観の3要素を統合し、より良い患者ケアのための意思決定を行うもの」(中山健夫)
ということです。
そのエビデンスの妥当性は五段階(エビデンスレベル)に分けられ、そのトップがシステマティックレビューです。
2015年にアライナー型装置に関するシステマティックレビューが学術雑誌に発表されましたので紹介します。
2000~2014年間に発表された多数の論文の中から7編が選ばれました。
それによると、アライナー型矯正装置は、
①歯の圧下(下げる)量は0.72mm程度、
②前歯の挺出(上げる)や回転、特に丸い歯の回転は非常に困難、
③上顎大臼歯の歯体移動による遠心(後ろ)移動は1.5mmまで、
④前歯の4~5mmまでの凸凹は改善可能、と述べられています。
結論として、マルチブラケット措置に比べ適応範囲が限定される装置なので、それを十分に理解することが大切です。
平成30年12月のある日