院長の一言... 「転医が多くなる時期です」
3月は転勤や進学などで慌ただしくなる時期です。それに伴い、矯正治療中の患者さんは今までかかっていた医療機関に通院することができなくなる事態が生じます。その場合は「転医」という対応を行います。その大まかな指針は日本矯正歯科学会の倫理規程に示されていますので、学会の会員はそれに基づき対応を行います。
転医の際の大切なポイントは三つあります。
一つは治療の継続を引き受けていただく先生が十分な技量を持っていることです。一月の院長一言に書きましたが学会の認定医を取得されていることが望ましいと思います。
二つ目は治療を継続するために必要な情報を次の先生へ確実に提供すること。情報とは顔や口腔の写真、レントゲン写真、歯列模型、診断や治療経過などを内容とする依頼状、などのことで、これらは担当医が作成して次の先生へ提供することになっています。資料作成は有料になる場合があります。
三つ目は治療費の精算です。矯正治療が保険診療で行われている場合は問題ないと思いますが、多くの矯正治療は保険外診療ですのでトラブルを起こすことがあります。その理由の一つは医療機関によって治療費が異なっている点です。特に都市部と地方とでの治療費は大きく違います。治療を受ける際の医療費はそれぞれの医療機関で設定された金額に従って支払わなければなりません。そのため、転医に際しては新たな追加料金が発生することがあります。二つ目の理由は返金です。高額の治療費を前納している場合は治療が途中であれば返金が行われます。その目安は学会の倫理規程に示されています。ただし、この返金の規定は日本矯正歯科学会と日本臨床矯正歯科医会にしかありません。これらの会員でない先生はこの規程を遵守することは難しいと考えられます。
もし将来的に転医する可能性がある場合は治療開始前の「矯正相談」時にこれらのことを先生に確認しておくことをお勧めいたします。
令和5年3月のある日