院長の一言... 「アライナー型矯正装置を考える 5」
前回は矯正力の大きさの要素について考えました。今回は第二の要素である「力の方向」についてマルチブラケット装置とアライナー型矯正装置とを比較します。
矯正治療は歯を三次元に動かしますが、歯に加える力の方向が歯の動く方向となります。
マルチブラケット装置では力の方向を主に三つの方法で調節します。
第一はワイヤーの屈曲です。これをワイヤーベンディングと言い、1st、2nd、3rdオーダーベンドがあります。そのほかにも様々な形に屈曲することで力の方向を調節します。
第二は歯に装着するブラケットの位置を変えることです。
第三はワイヤーを挿入するブラケットの溝(スロットといいます)の形状を変えること。太さや角度の違ったスロットを持つブラケットが作られており、それらを適切に選択することが必要になります。
アライナー型矯正装置ではあらかじめ動かそうとする歯の位置を想定した模型を技工所で製作し、それを基に装置を作ります。作った装置を動く前の実際の歯に装着することで方向が決まります。このような製作工程なので、歯科医自身が歯を動かす量や方向を適時に調節することはきわめて困難です。
平成30年7月のある日