院長の一言... 「アライナー型矯正装置を考える 6」
前回は矯正力の方向について考えてみました。今回は第三の要素である「力の分布」についてマルチブラケット装置とアライナー型矯正装置とを比較します。
力の分布とは少々想像しにくいでしょう。矯正治療で歯を動かすためには歯に力を加えることが必要です。その加え方の違いによって歯は傾斜して動いたり平行に動いたりします。
学問的に言うと、力を歯根周囲にある歯根膜にどのように分布させるかによって傾斜するか平行に動くかが決まります。これを力の分布と言います。
マルチブラケット装置で歯を傾斜させるにはブラケットの位置や形状を考慮し、アーチワイヤーの細いものや柔らかいものを使います。ワイヤーを屈曲することもあります。
平行に動かすには同じくブラケットの形状を考慮し、ワイヤーの太いものや硬いものを選んだり、ワイヤーを屈曲したりします。専門的な知識・技術が必要です。
アライナー型矯正装置自体には力の分布を調整する機構を備えてはいません。あらかじめ技工所で作製される予測模型上の歯の位置が傾斜するか平行に動くかを決めています。
予測模型しだいということです。
平成30年8月のある日