院長の一言... 「アライナー型矯正装置を考える 3」
矯正装置で歯を動かすためには装置が発生する矯正力を歯に加える必要があります。その力が歯と接触する骨に圧力として伝わります。圧力が加わった骨の部分に破骨細胞が出現し、骨が徐々に吸収されます。その吸収された部分に歯が移動します。
このような訳で、矯正治療にとって歯に加える力をコントロールすることは治療の経過やその結果を左右する非常に大切なものです。前回は力のコントロールを考える上で重要な4つの要素、①力の大きさ、②力の方向、③力の分布、④力の時間を挙げました。
従来のマルチブラケット装置とアライナー型矯正装置とを比較して、これら4つの要素にそれぞれどの様な違いがあるのかを考えてみます。
まず一番目の「力の大きさ」について考えます。矯正治療で取り扱う力(荷重)は50~200グラム程度です。食べ物を噛む力が数十キロあるのに比べると、とても弱い力です。そして、この力の大きさは歯の歯根が接触する骨の面積によって異なります。面積が大きいほど、すなわち歯根が太かったり、長かったり、数が多ければそれだけ大きな荷重を歯に加えなければ歯は動きません。
平成30年5月のある日