院長の一言... 「発音障害と矯正治療」
大学の歯学部学生への講義を年に一回担当しています。今年も1月に行いました。
内容はいつも同じですが、不正咬合(かみ合わせや歯並びが悪いことで矯正治療の対象)によって起きるさまざまな障害の研究紹介です。患者さんが治療の必要性を十分に納得してもらえるために必要な医学的事実を明らかにする方法を教えます。
その一つは不正咬合による発音への悪影響で、それを簡単に説明します。私たちが「あ」とか「い」とかの母音を発音するためには音の源となる「声帯」と、その音が通る筒状の「声道」が必要です。声帯はノドにあり、肺からの空気で「ブー」という音がします。
女性の声帯は小さいので高い音に、男性は大きいので低い音になります。声道とは声帯から唇までの空洞のことで、アゴの位置や舌の動きによってその形が変わります。
人間は子供の頃からの練習で声道の形を巧みに変えることで「あ」とか「い」とかの音を作っているのです。そのため、声道の形が正常でないと正しい音を作ることができなくなります。矯正治療は正しい発音のためにも重要な治療になるのです。 平成27年1月のある日