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2024年2月29日

マルチブラケット装置を使用した本格矯正治療での通院間隔は一か月に一度です。
これは私が知っている限り50年以上前からこのように決められていました。
この根拠にはおそらく歯科矯正学での生力学の世界的権威であるバーストン先生が教科書で解説している有名な図からではないかと思っています。

それによると、治療による歯の動きはinitial phase、lag phase、postlag phaseの三段階に分けられます。
歯に矯正力がかかると歯は急速に動きます。これは歯根膜腔内での歯の変異によるものでlnitial phaseと言います。その後lag phaseといって歯の動きは一旦減少し、歯根膜の硝子化変性によるものと考えられています。その次に歯槽骨の吸収が起こり、歯はふたたび急速に動きます。これをpostlag phaseと言い、やがて歯の動きは止まっていきます。この三段階が約1か月で、おおよそ1 mmの移動量になります。

ところが今年1月のAJODOという外国の一流学術雑誌に面白い研究発表が掲載されていました。
上顎前突の第一小臼歯抜歯による本格矯正治療で通院間隔を一か月毎と二週間毎とに分けて行った場合の治療成果と治療期間の比較についての研究でした。

それによると、両グループとも治療成果は良好で有意な違いはありませんでした。ところが治療期間では一か月毎の場合は28か月であったのに対し、二週間毎の場合は22か月で6か月、約半年もの差があったということでした。これには驚きました。

治療回数は増加するものの、装置の装着時間が短くなることは患者さんにとって有り難いことでしょう。ただし、どうして治療期間が大幅に短縮されたのかについての詳細な検討は明らかでないため、慎重に対応する必要があると思います。

令和6年2月のある日

2024年2月 5日

矯正治療ではレントゲン写真を頻繁に撮影します。
矯正治療で撮影する主なレントゲン写真は顔を写すセファロ写真と歯を写すオルソパントモ写真で、診査や診断にとって必須な写真です。

先日、ある男子の患者さんのオルソパントモ写真を撮りました。それを見て大変ビックリしました。その写真には実際に生えている歯以外に少なくとも3本の歯が写っていました。右上の中切歯と側切歯の間に1本、左上の側切歯と犬歯の間に1本、そして右下の側切歯と犬歯の間に1本、歯の形そっくりなものが写っているのです。

もちろん、患者さんの歯型と照らし合わせながら何度も見返しましたが、写真には間違いなく歯らしきものがあるのです。しかも、歪んでたり、ブレたり、ぼやけたりすることなく、隣の歯と並んで生えているように写っているのです。スタッフにも見せましたが同じように見えていたので、私の目のせいではないようです。

撮影機械のメーカーにさっそく伝え点検してもらいました。来られた方も今までこのような写真は見たことはないとのことで、本社の専門家に問い合わせていました。いろいろ検討したところ、機械の問題ではなく、患者さんの顔の動きによるものではないかとのこと。パントモ写真は顔の周りをX線官とフィルムとが回転しながら撮影されます。その時に顔がブレると像は歪みますが、今回はそのような像ではないため、顔が短い時間にX線菅と同じ方向に動いたことにより、隣の歯と同じ形の歯が並んで生えているように写されたのではないか、との推論でした。ただし、専門家の方も今までこのような写真を見たことはないとのことでした。

なんとも不思議な臨床経験をしましたが、世の中にはまだまだ知られていないことが起きるようです。

令和6年1月のある日

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おびひろアート矯正歯科 院長 今井徹
おびひろアート矯正歯科
院長 今井徹

【所属学会】
日本歯科医師会
日本矯正歯科学会
アメリカ矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会

【経歴】
1979年3月 北海道大学歯学部卒業
1983年3月 北海道大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1983年4月 北海道大学歯学部助手
1985年3月 北海道大学歯学部附属病院講師
1990年7月 日本矯正歯科学会認定医
1991年5月 文部省在外研究員としてアメリカ留学
1991年11月 北海道大学歯学部講師
1992年9月 日本矯正歯科学会指導医
1993年4月 北海道大学助教授
2000年8月 おびひろアート矯正歯科を開業
2006年11月 日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)