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2024年5月31日

最近読んだ矯正歯科関係の本で勉強になった一冊があります。MheissenとKhanの"Orthodontic Evidence"という本で、10のテーマごとに最新の論文を集め要旨をまとめたものです。

その本の第一章が「Maxillary Molar distalization」、上顎大臼歯の遠心(後ろ方向)移動でした。このテーマが一番初めに書かれている本は今まで見たことがありません。このテーマが最近の矯正臨床でいかに重要な治療であるかを強く感じました。

当院では重度の乱ぐい歯(叢生)や出っ歯(上顎前突)の治療が増えているため、上顎大臼歯の遠心移動を行わなければならない場合が増加しています。そこでこの目的の矯正装置を調べました。

今までに発表された大臼歯遠心移動装置はヘッドギア、Carriere appliance、Celtin removable plate、Wilson bimetric distalizing arch、ペンデュラム装置、Frog appliance、マグネットを用いた装置、Distal Jet、Jones Jig、 First Class appliance、Keles slider appliance、Xbow appliance、GMDなど沢山ありました。前の四つは患者さんの協力が必要な装置で、残りはそれほど必要ありません。

治療を効率よく確実に進めたい立場としては、できるだけ患者さんへの負担が少なく、かつ意図する歯の移動が確実に、しかもほかの歯や歯肉などに副作用が生じない装置であれば大変有り難いことです。

当院ではその中の一つのDistal Jetという装置を使うことが多くなっています。作製は少々煩雑ですが、今のところ意図した歯の移動をしてくれる装置ではないかと考えています。
ただし、その治療効果を十分に導き出し、かつ効果を持続するための対応をさらに検討しなければならないと考えています。

令和6年5月のある日

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おびひろアート矯正歯科 院長 今井徹
おびひろアート矯正歯科
院長 今井徹

【所属学会】
日本歯科医師会
日本矯正歯科学会
アメリカ矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会

【経歴】
1979年3月 北海道大学歯学部卒業
1983年3月 北海道大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1983年4月 北海道大学歯学部助手
1985年3月 北海道大学歯学部附属病院講師
1990年7月 日本矯正歯科学会認定医
1991年5月 文部省在外研究員としてアメリカ留学
1991年11月 北海道大学歯学部講師
1992年9月 日本矯正歯科学会指導医
1993年4月 北海道大学助教授
2000年8月 おびひろアート矯正歯科を開業
2006年11月 日本矯正歯科学会臨床指導医(旧専門医)