院長の一言... 「矯正の患者さんで多いのはどんな人 その1」
矯正治療で治す対象となるお口の状態を「不正咬合(ふせいこうごう)」といいます。歯科での別の分野では「咬合異常」とも言います。最近の学校の歯科検診では従来までのむし歯や歯肉の状態、プラークの付着の程度、アゴの動きなどを診ることのほかに不正咬合の有無もチェックしています。
不正咬合は大きく2種類に分けられます。一つは上と下の歯の噛み合わせの異常、もう一つは上下それぞれの歯並びの異常です。
噛み合わせの異常では出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突、反対咬合)が代表的なものです。そのほかに上と下の前歯が開いている開咬(かいこう)、その逆に上の前歯が下の前歯を半分以上おおっている過蓋咬合(かがいこうごう)があります。歯並びの異常では凸凹な歯並びや八重歯になっている乱ぐい歯(叢生(そうせい))や歯と歯の間にすき間があるすきっ歯(空隙歯列弓)があります。
このように不正咬合にはいろいろな種類がありますが、中でも矯正治療を受けてでも治したい、良くなりたいと考えたり、今の状態に不便や不都合を感じたりするものが幾つかあります。
少し古い時代の調査になりますが、1970~1990年代に各大学病院の矯正歯科で調査した報告が7つ発表されています。それによるともっとも多い不正咬合は下顎前突で、全体の約40%を占めていました。次は叢生で20~30%、その次が上顎前突で10~20%でした。
その頃の北海道大学病院もほかの大学病院と同じく下顎前突の患者さんが多く、北海道は特に下顎前突が多いとも言われていました。その理由として子供のむし歯が多いから、と教えられたように記憶しています。けれど残念ながらその科学的根拠が発表されたことはいままでにはありません。
令和7月5月のある日