院長の一言... 「アライナー矯正の利点と欠点について」
先月の「院長一言」で、矯正歯科治療に関する一般の方からの質問や苦情の中の一つに「アライナー矯正」があることを話しました。2018年の院長一言にも同じことを書いていました。いまだに解決されずに続いているということです。それはなぜでしょうか?
アライナー矯正には沢山の利点があります。透明な材質で目立たず他人の目を気にすることがない、取り外しが簡単にできるので便利で歯みがきがしやすい、薄く違和感が少ないので歯の痛みや精神的なストレスをほとんど感じない、などです。
患者さんにとっては従来のワイヤー矯正(マルチブラケット装置のこと)とは比べものにならないほどとても快適な装置なので受け入れやすい、ということが大きいのではないかと思います。
確かに矯正治療を専門に行っている歯科医師の立場からもこれらの利点は十分に理解できます。
しかしながら、学会などへの質問や苦情がいっこうに減らないのは、やはりそれなりの理由があるのです。
日本矯正歯科学会のホームページで注意喚起していますが、アライナー矯正は今のところすべての不正咬合(歯並びやかみ合わせの異常)の治療に対して十分に有効ではない、ということです。そのため、正しく診断した上で治療することが重要になります。
理由の一つには2018年の3月~12月のこの記事で書きましたように、装置自体がもつ構造にあります。それらを克服すべくアライナー矯正についてさまざまな工夫や研究が続けられています。
アライナー矯正の限界の一つに歯の根(歯根)のコントロールがあります。最近の研究結果から実際にアライナー装置で治療された歯根のコントロールは予測された動きと比べると58%程度であったと報告されていました。
令和6月12月のある日