院長の一言...「上顎前突、いわゆる「出っ歯」について」その5
4月の院長一言では出っ歯(上顎前突)の日本人が増えていることと矯正治療でも出っ歯の治療が増加していることを書きました。どうして出っ歯の患者さんが増えているのかは「歯科疾患実態調査」から人数が増えていることは分かりましたが、そのほかにも何か理由があるのではないかと考えていました。
昨年のアメリカの専門雑誌(Angle Orthodontist)に面白い研究が発表されていました。口唇の突出度や厚みの人種による好感度の違いを調査した研究です。白人(ヨーロッパ人)、黒人(アフリカ人)、極東人(日本や中国など)、中東人(アラブ人など)の四つの人種それぞれ約百人の回答者に、横顔のイーライン(鼻先ーオトガイ)を基準に口唇を前後に六段階変化させた場合の好感度を調べました。
その結果、人種によって横顔の好みが違うことが分かりました。平均的な口唇の厚みの場合、黒人はイーラインより2mm前方、白人は1mm前方、中東人は4mm前方、そして極東人は1mm後方が最も高い好感度でした。口唇の厚い場合も薄い場合も同じ結果でした。さらに、極東人は薄い口唇がもっとも好まれたとのことでした。
そのほか幾つかの研究を調べてみると日本人の場合、口唇が突出しているよりもわずかに後退した方が好まれるという結果でした。また、出っ歯による「口ゴボ」という感じの側貌は好感度が低く、フラットな横顔が好まれると述べられていました。
口唇の突出度は顔貌の好感度に影響をおよぼす要因の一つです。
実際の矯正治療においても前歯の移動によって口唇の突出度が改善した場合に患者さんの満足度は高いと感じています。
イーラインを提唱したリケッツ先生の1957年の基準と現代とは違ってきているようです。
令和8年5月のある日
