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2018年1月29日

質問「歯並びとむし歯って、関係あるの?」、答えは「Yes」。
これはほとんど常識で、今さら考える必要もないと思っている人はたくさんいると思います。しかし、実はそのことを科学的に研究したり、大規模調査を行ったりして論文などで発表されていることが少ないのです!

数十年前学生だった頃、歯科矯正学の教科書にも悪い歯並びはむし歯や歯周病の原因になると書いてありましたし、授業でもそう教えられました。実際の矯正治療をしていても、歯並びが良くなるにつれて、今まで凸凹で見えなかった歯の部分にむし歯ができていたりすることはよく経験します。そのようなことから、いくら一所懸命に歯磨きしても、歯並びが悪いとむし歯になってしまうことに疑問を感じたことはありませんでした。

ところが、以前むし歯の発生の危険性についての論文を作るためにその根拠となる研究を探そうとした時があるのですが、なかなか見つかりませんでした。大学の先生からも同じ苦労をしたことを聞いたことがあります。当たり前の常識はなかなかアカデミックな活動と結びつかないのでしょうか。 

平成30年1月のある日

2017年12月26日

矯正治療は治療が始まってから保定(治療後の安定をはかる段階)になるまで年単位の長い時間を必要とします。治療を効率よく進めるためにはできるだけ担当医は変わらない方がいいのです。やむをえず変わる場合は進学や通院などで通院が困難になった場合、担当医が病気や死亡で続けられなくなった場合です。なかには、担当医への信頼を無くしてしまったという場合もあります。これらを転医(てんい)と言います。

しかし、転医には煩雑な手続きが伴います。第一に治療をしてくれる次の先生を探さなければなりません。また、次の先生が円滑に治療を続けるためにはレントゲン写真や歯の模型、今までの治療経過などの情報を必要とします。それらは前の先生から提供してもらわなければなりません。第二に治療費の精算や次の先生への新たな治療費の支払が発生します。保険診療であれば問題は少ないのですが、多くの矯正治療は保険外診療なので、その取り扱いはケース・バイ・ケースが現状です。

そのため、矯正治療を始める時に矯正歯科医を正しく選択することが大変重要になります。初回の矯正相談でしっかりと話を聞くのが大切です。  

平成29年12月のある日

2017年11月27日

インターネットの世界的な普及によって私達の生活はずいぶん便利になりました。
知らない事や知りたい事があると昔は本で調べたり、人に聞いたりしました。
でも、今はネットを開くと沢山の情報が瞬時に手に入ります。矯正治療の場合もネットのホームページ(HP)を調べて来院する場合が多くなっています。
矯正歯科を行っている診療所のHPもネットに沢山載っています。
内容は住所、電話番号、矯正治療の説明、診療所の紹介やその特徴、矯正治療費、院長の経歴などです。
これらを参考にして、自分に適した診療所をいろいろと選んで来られます。

でも、HPには「どうもこれは?」と疑問になる言葉や内容が使われていることが多くなってきています。たとえば「スピード矯正」、「プチ矯正」、「ブライダル矯正」など。何となくわかる気がしますが、実際にはその様な矯正治療はありません。また、「難しい治療でも必ず成功」、「絶対安全な治療を提供」、「日本有数の実績」など虚偽や誇大と思われる表現もあります。

厚労省や学会はこれらのHPの規制強化を行い、正しい医療を理解していただくように指導しています。 

平成29年11月のある日

2017年10月28日

 先週、日本矯正歯科学会が札幌市で開催されました。北海道での開催のため移動の時間やお金の負担が軽くてすみました。そればかりでなく、宇宙望遠鏡を使った大きなスケールの画期的発見から、幹細胞を利用した先端的再生医療、そして最新の矯正治療についてと盛り沢山の講演が用意されていて、大変有意義な学会でした。

その中の一つに、著名な矯正臨床医である菅原準二先生の講演がありました。今回の講演では、ご自身の長年の臨床経験から困難な矯正治療例を通して、現代の矯正治療における三つのエポックメーキングについて解説されました。

第一はマルチブラケット装置の進歩。この装置によってほとんどの不正咬合の治療が可能になりました。第二はアゴの手術を伴う外科的矯正治療の進歩。通常の矯正治療では歯の移動量は2~5mmですが、この治療により5mm以上の歯の移動や上下のアゴ自体の移動が可能になりました。そして第三はアンカースクリューの開発。短く細いスクリューを骨に入れることで、今まで出来なかった歯の移動が可能になりました。矯正治療が確実に進化していることを丁寧に整理していただきました。 

平成29年10月のある日

2017年9月26日


先日、矯正歯科材料のセールスマンの方に面白い話を教えてもらいました。歯の表に着けるブラケットには昔からある金属製のもの(メタルブラケット)とプラスチックやセラミックでできた透明なもの(審美ブラケット)の二種類があります。日本ではメタルよりも審美ブラケットの方が好まれるので、審美ブラケットの注文数が多いということでした。お隣の韓国も近年矯正治療を受ける人が増加しており、やはり審美ブラケットを選ぶ人が多いということでした。

ところが、ブラケットによる治療の元祖である本場アメリカでは日本とは逆に審美ブラケットよりもメタルを選ぶ人が多いとのことでした。同じような傾向がシンガポールなど東南アジアでも見られるとのこと。その理由は、矯正治療を受けているということ自体が社会での立派なステータスシンボルになるからだそうです。これはアメリカでも東南アジアでも同じ理由のようです。中には、治療をしていないのにわざと歯の表面に金属を張って、いかにも治療をしているように見せている人もいるそうです。お国によって受け止め方はさまざまです。  

平成29年9月のある日

2017年8月24日


今回は「矯正治療での四つの大切なポイント」の最後、保定について話します。

矯正治療は沢山の歯を矯正装置を使って動かし、歯を正しい位置に並べます。動かし終わったら装置を外します。しかし、外したままにしておくと、歯はゆっくりと元の位置に戻ろうとします。この現象を「後戻(あともど)り」といい、もっとも大きな原因は歯と周囲の組織の構造によるもので、必ず起こります。後戻りを防ぐのが保定です。

多くの患者様は、長い時間をかけて治した綺麗な歯並びをできるだけ長く保っておきたいと望みます。その希望を保証するのが保定の役目で、治療後の安定性を左右する重要な段階となります。そのため、歯を動かす治療を動的(・・)治療(・・)というのに対して、保定を静的(・・)治療(・・)ともいいます。後戻りは動的治療後1年以内に起こる早期の後戻りと、それ以降にゆっくりと起こる晩期の後戻りがあります。
これら後戻りを防ぐ装置をリテーナー(保定装置)といいます。リテーナーには取り外し可能なタイプと歯に接着させるタイプがあります。使用時間も経過によっていろいろありますので、担当の先生の指示をしっかり守ることがとても大切です。 

平成29年8月のある日

2017年7月25日

前回お話ししました矯正治療で大切な4つのポイントの第三弾、矯正治療の続きで、今回は具体的な矯正治療(動的治療)の内容について説明します。

矯正治療には「早期治療(1期治療)」と「晩期治療(2期治療)」の二種類があります
。「早期治療」とはアゴの骨の成長時期、乳歯から永久歯への歯の交換期に行われる治療で、主に小学生を対象とします。
色々な矯正装置を使って上下のアゴの位置関係や大きさを改善します(顎整形法)。また、乳歯から永久歯への正常な生えかわりを妨げる原因を除去したりします。
「晩期治療」は永久歯がそろってから始める治療です。マルチブラケット装置をすべての
歯に装着し、たくさんの歯を動かして正しい歯並びとかみ合わせに治します。
大人の矯正治療はこの晩期治療に入ります。

数十年前は矯正治療というと子供が受ける治療と思われていました。しかし、最近は大人の
方の治療が増えています。
この背景にはお口の健康志向の向上や矯正治療の進歩と普及が影響していると考えられています。   

平成29年7月のある日

2017年6月27日

今回は矯正治療で大切な4つのポイントの第三弾、矯正治療のお話しです。まず、矯正治療の対象としているのは「不正咬合(ふせいこうごう)」です。これは大きく二つに分けられます。一つは上と下の歯の不正なかみ合わせです。たとえば「出っ歯」や「受け口」などです。二つ目は正しくない歯並び。たとえば「八重歯」や「乱ぐい歯」、「すきっ歯」などです。これらはいくつか複合して起こっていることが多いです。
不正咬合はそれが起こったからといって痛みが出たり、命に影響を及ぼしたりすることはありません。しかし、さまざまな不都合を起こします。第一は見た目の問題。歯並びが悪かったり、前歯が出ていたりすると「ちょっと恥ずかしいな」と思ってしまい、コンプレックスを感じます。矯正治療を希望する方の90%以上はこの悩みを持っています。ほかにも、食べ物がうまく噛めなかったり、滑舌が悪くなったりします。さらに、歯みがきがしづらく、食べ物が挟まりやすく、むし歯や歯周病になりやすくなってしまっています。お口や心の健全な状態を回復するためには矯正治療が必要になります。    

平成29年6月のある日

2017年5月23日

今回は矯正治療で大切な4つのポイントの第二弾、矯正検査と矯正診断についてお話します。どんな医療も同じですが、治療を始める前には患者様の不正咬合(・・・・)を調べるための検査や診査、そしてそれらに基づく的確な診断が不可欠になります。これが間違っていると適切な治療を行うことができません。

調べる内容は不正咬合の種類とその原因、程度、経過などを突き止めなければなりません。原因はアゴなのか、歯なのか、関節や筋肉なのかなど調べることは沢山あります。そのために顔や口の診査、色々なレントゲン写真や歯型をとります。

次に、これらを分析します。矯正歯科で独特なものに「セファロ分析」と「模型分析」があります。前者はレントゲン写真を使ってアゴや歯の角度や距離を計測して顔の形を調べます。後者は歯型を使って歯やアゴの大きさを調べます。これが矯正検査です。検査結果を解析し、不正咬合の種類と原因などを明らかにし、治療対象を決めます。
これが矯正診断です。検査から診断まではそれなりの時間が必要で、しかも神経を使う仕事になります。   

平成29年5月のある日

2017年4月20日

早いもので矯正歯科の専門医として勉強を始め、診療を続けてきて三十年ほど経ちました。その間は大小さまざまな失敗や反省の連続でした。知識、技術や経験が増えるとともに初歩的な失敗は無くなりましたが、今でも「これがベストの選択であったのか?」と振り返ることがあります。その様なことを通じて、数年に及ぶ長期間の矯正治療には四つの重要なポイントがあると思っています。

その一つは初診時の「矯正相談」です。矯正相談は患者様と初めて顔を会わせる瞬間です。お互いの第一印象は様々でしょうが、最も大切なことはいかに適切な判断を行うか、ということです。そのためには相談に来られた動機、実際に生じている不便な事やこれから起こるだろう健康上の障害などを詳細に知ることです。

次に、それに基づいて適切な治療開始は何時なのか、適切な治療方法はどのような事が想定できるのか、などを判断し、計画を立案することです。

そして最後に、それらの内容をできるだけ分かりやすく、理解・納得が得られるように説明することです。それなりの時間が必要になります。

平成29年4月のある日

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おびひろアート矯正歯科 院長 今井徹
おびひろアート矯正歯科
院長 今井徹

【所属学会】
日本歯科医師会
日本矯正歯科学会
アメリカ矯正歯科学会
日本臨床矯正歯科医会

【経歴】
1979年3月 北海道大学歯学部卒業
1983年3月 北海道大学大学院歯学研究科修了(歯学博士)
1983年4月 北海道大学歯学部助手
1985年3月 北海道大学歯学部附属病院講師
1990年7月 日本矯正歯科学会認定医
1991年5月 文部省在外研究員としてアメリカ留学
1991年11月 北海道大学歯学部講師
1992年9月 日本矯正歯科学会指導医
1993年4月 北海道大学助教授
2000年8月 おびひろアート矯正歯科を開業
2006年11月 日本矯正歯科学会専門医