院長の一言...「文献検索 昔と今」
大学では矯正歯科の診療のほかに研究も重要な仕事の一つでした。日々、診療をしていると「これはどうなんだろう」、「今までに何が分かっているのだろう」、「何かもっと良い方法はないのか」、「もしかしてまだ分かっていないことではないのだろうか」、などいろいろと疑問が浮かんできます。その答えを見つけていくのが研究の面白いところです。
今まで携わってきた研究には、矯正治療の対象である不正咬合の頻度、不正咬合の発音や筋肉への影響、不正咬合と顎関節症の関係、矯正治療後や外科手術後の後戻りの状態、歯の移動による歯根への影響などがありました。今でもまだまだ分かっていないことが多く残っています。
研究を始める時にはまずそのテーマに関する研究がいつから行われ、どういうことが明らかになっていて、何がいまだに分かっていないのか、今までどんな方法で研究されているのか、などをあらかじめ調べておかなければなりません。これらの詳細な内容は教科書からはほとんど手に入りません。専門雑誌に掲載されている研究論文を見つけて、読んで、調べなければなりません。この作業を「文献検索」といい、研究にとって重要な仕事の一つになります。
たくさんの専門雑誌を個人が持っていることはないので、必要な論文を入手するために歯学部の図書館に行って雑誌を探します。無ければほかの学部の図書館や全学中央の図書館に行って探します。それでも無い場合は雑誌を所蔵している大学などの図書館を係の人に調べてもらい、あった時にはそのコピーを送ってもらうよう手続をします。手に入るまでには終日~数か月かかってしまうことがありました。これがかつての文献検索です。
令和7年10月のある日
